節分の恵方巻の由来

悲しい程開店休業状態のままとなっているこのブログ。

気が向いたときだけになりますが、またぼちぼち更新したいと思います。

 

さて、先日は節分でしたね。

歳を重ねてくるにつれて、数え年分の豆を食べ切るというノルマの達成がなにげに大変になってきておりまして、せめて味がついていれば食べやすいだろうということで、数年前から我が家では味付の豆を導入しています。

ところで、豆まきに加え、ここ10年くらいは関東でも「節分に恵方巻き」がすっかり定着してきた感があります( ただ、私自身は生まれも育ちも関東圏で全く恵方巻の風習になじみがなく、また、どうもコンビニやスーパーの恵方巻き商戦の押しつけがましさばかり目につくので、我が家には取り入れていないのですが)。

 この恵方巻の由来について、弁護士の川村哲二先生がブログに面白い記事を書いておられます。

「恵方巻」控訴審判決と巻寿司丸かぶりの風習の由来(大阪高裁): ::::弁護士 川村哲二::::〈覚え書き〉::::

 

面白いなぁと思って、紹介されている大阪高裁の判例を調べてみました。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/375/038375_hanrei.pdf

これは、「招福巻」という商標権を有する原告(大阪の寿司店「すし萬」の経営会社)が、被告イオンに対し、「十二単招福巻」との標章をつけて巻き寿司を販売したこと等について商標権侵害差止等を請求した事件の控訴審判決です。

判決の中身を読んでみると、恵方巻の由来について、次のような記載があります。

(前略)

 豆まきのほか,節分の日に巻き寿司を食するようになった起源は定かではないが,甲16(昭和7年に大阪鮓商組合後援会が得意先向けに作成 した「巻寿司と福の神と題するビラ)に花柳界で行われていた風習が一 般に広まった旨の記載があるほか,乙5の書物中の大阪府すし商環境衛生 同業組合平成2年発行のビラに「江戸時代の末期若しくは明治の始め頃から大阪の中心地,船場発祥地とされております。商売繁盛,無病息災, 家内円満を願ったのが事の始りです 」と記載がある。その後,大阪を中心 に「節分の日にその年の恵方に向いて無言で壱本の巻寿司を丸かぶりすれば其年は幸運に恵まれる」と言い伝えられ,遅くとも昭和7年ころには大阪の一部地域において,節分に恵方を向いて巻き寿司を丸かぶりする風習が行われるようになった。

 昭和7年には,大阪鮓商組合後援会が節分に恵方を向いて巻き寿司を丸かぶりすれば幸運に恵まれるとするビラ(甲16)を発行し,その中で,その由来を紹介するとともに,これに用いる「幸運巻寿司」なる巻き寿司の販売を宣伝している。大阪鮓商組合後援会は昭和15年ころにも,これと同様の宣伝ビラを発行していた。その後,時を経て昭和52年ころ,大阪海苔問屋協同組合が「幸運巻ずし」と銘打って節分に巻き寿司を丸かぶりすることを勧める宣伝活動を始め,また,関西厚焼工業組合も同じころから広範囲で同様の宣伝活動を行うようになり,昭和62年ころには,関西地方のみならず,岐阜,浜松,金沢,新潟等の各都市や九州地方にまで上記同様の宣伝ビラを送付していた。その後,スーパーマーケットなどでも宣伝を行うようになり,節分に恵方を向いて巻き寿司を食する風習が関西地方を中心に次第に広い地域に広がっていった(乙5 )。 なお,乙3の6のインターネットサイトには 「節分に巻き寿司を食べる 風習は,福を巻き込むという意味と,縁を切らないという意味が込められ,恵方(えほう)に向かって巻き寿司を丸かぶりするようになった。節分に巻き寿司を食べる風習は,主に関西地方で行われていたものだが,大阪海苔問屋協同組合が道頓堀で行った「巻き寿司のまるかぶり」の行事をマスコミが取り上げ,それを見た全国の食品メーカーが便乗し全国へ広まっていった (語源由来辞典より 」との記載がある。

(中略)

 以上によれば,節分に恵方を向いて巻き寿司を丸かぶりする風習は遅くとも昭和7年の段階で少なくとも大阪の一部地域で行われていたものであり,大阪の巻き寿司関連業界の宣伝活動によって次第に広がり,昭和の終わりころには,大阪以外の関西地方,さらには関西地方以外の地域にも広がり,近年は,乙8のような全国の一般家庭向けの冠婚葬祭事典にも紹介される等,さらに広範囲に広がりつつあるということができる。

 

 ということで、この裁判例の認定によると、恵方巻は、元々昭和初期の大阪周辺の花街界隈の風習だったものが、食品業界団体がビジネスチャンスを広げるために宣伝活動をして関西を中心に徐々に広まり、最終的にはスーパー等でも宣伝されるようになって全国区に普及した、ということのようです。

 個人的には、関東圏では、スーパーより先にコンビニが力を入れて普及活動し始めたような記憶があります。セブンイレブンだったような?

…と思ったら、ちょうどこんな記事がネットにありました。


「恵方巻」を広めた元祖店はどこだ? 気分、節分、それぞれの言い分 : J-CASTニュース

 売る側としては、クリスマス&新春商戦と、バレンタインデー商戦の間を埋めるのにちょうどいいのかもしれません。ハロウィーンも似たようなニーズから近年広く国内に普及してきましたよね。次はそろそろイースターあたりが狙われそう?