【PC遠隔操作事件】保釈取り消しで、保釈保証金はどうなる?

えーと、すっかりご無沙汰してしまいました。なかなか筆が重くて申し訳ないのですが、思い立ったが吉日!モチベーションがあるうちに、久しぶりにブログを書こうと思います。

 

PC遠隔操作事件がここ数日で急展開を見せました。この事件は、発生当時から個人的にも興味を持ってウォッチしてきました。

まず事件の経緯を簡単におさらいしてみましょう。

2012年から始まったこの事件、当初4人の方が誤認逮捕されていたことが判明し、2013年2月に5人目として逮捕されたのが片山氏でした。

片山氏は当初から一貫して無罪を主張し、弁護側が全面可視化による取調べを求めたものの捜査機関側がこれを拒否したまま捜査は進められ、2013年3月に起訴。

起訴から約1年経った今年3月にやっと保釈が認められ、1000万円の保釈保証金(いわゆる「保釈金」のこと)を納めて片山氏は身体拘束を解かれました。

そして今月16日、公判中の時間帯に、「真犯人」を名乗るメールが報道関係者や落合弁護士に送付されてきて、事態は急展開。片山氏は記者会見で真犯人メールは自分が送ったものではないと語りました。

と思いきや19日に一転、弁護人が片山氏と連絡がとれない状態であると発表し、警察は真犯人からのメールは片山氏が河川敷に埋めたスマホから発信されたものだとの情報を流し、さらに弁護人が片山氏から「自分が真犯人だ」と電話があったと発表しました。

そして検察は片山氏の保釈取り消しを裁判所に申請し、本日20日、裁判所が保釈を取り消す決定がなされ、朝から弁護士事務所を訪れていた片山氏は東京拘置所に再収容されました。

ここまでが、現段階で報道されている経緯の概略です。 この事件は、まだ公判中であり、裁判所の最終的な判断(判決)が示された訳でも片山氏の有罪が確定した訳でもないので、まだ事件そのものに対してのコメントは現段階では差し控えようと思います。 

さて、片山氏は保釈保証金を1000万円裁判所に納めて保釈されていました。保釈取り消し決定が出た今、この保釈保釈金はどうなるのでしょう。 

刑事訴訟法の保釈取り消しに関する定めを見てみると、こんなふうになっています。

刑事訴訟法第九十六条
1  裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
一  被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
二  被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三  被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
四  被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
五  被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
2  保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。
3  保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。

  

片山氏のように公判中の場合、まだ刑の言渡を受けて判決が確定した訳ではないので、「没取しなければならない」と定める3項ではなく、「没取できる」とする2項に該当します。

そのような場合、条文上は「没取できる」なので、裁判所が保釈取り消しを決定する際、同時に保釈保証金の全部または一部を没取すると決定することもできるし、没取しないと決定することもできるわけですが、一般的には全く没取しないということは考えられないので、(1000万円全額か一部かは別として)没取される可能性が高いと思います。

そもそも保釈保証金というのは、保釈中の被告人に「保釈中に逃げたり証拠隠滅したりすると没収されちゃうからね、そういうことはしないでね」とプレッシャーを与えて、逃亡や証拠隠滅行為などを防ぐために納めさせるものなので、保釈が取り消されるような事態になれば、基本的には没取されるものと考えるべきでしょう。

それで、没取された保釈保証金はどうなるかというと、国庫に帰属します。国のお金になっちゃうわけです。犯罪被害者に分配されたりするわけではありません。また、仮に最終的に無罪になったとしても、保釈保証金は戻ってきません。

 

以上、今回の件に絡めて、保釈が取り消されちゃうと保釈金はどうなっちゃうの?というお話をしてみました。

うーん、まだいまいちはてなブログの使い方がわかっておらず、フォントをうまく操作して見やすく記事を作ることができていませんね。ちょっとずつ頑張りますので気長に見守っていただけますと幸いです。